つくり方大公開!

上級編

タワーのつくり方 技術紹介:タワーの鉄骨を積み上げる

東京スカイツリーをつくる技術 風による吊荷の回転を制御する スカイジャスター

東京スカイツリーの現場では、特別仕様のクレーンが日々活躍しています。このタワークレーンと共に吊荷の回転を制御し、作業効率アップや安全確保のために活躍しているのが「スカイジャスター」です。

解析モデル・仮受けをした場合の変形解析結果

通常以上に風の影響を強く受ける吊荷

タワークレーンで揚重を行なう際には、風の影響やクレーンの慣性力により、吊荷が空中で回転してしまうことがあります。安全確保のため、10分間の平均風速が10m/s以上の強風時には、作業を中止することが法律により定められていますが、平均風速が10m/s以下といっても安心は出来ません。風の影響が多いと思われる高層ビル建設などでは、吊荷の回転を制御する装置をクレーンと吊荷の間に取り付け、安全を確保しています。

特に東京スカイツリーの場合は、通常のビル建設と異なる要因があります。

1.風を受けやすい吊荷の形状,2.上空での突風,3.複雑な形態の塔体の影響による風の乱れ

スカイジャスターの開発

建築物の超高層化、鉄骨重量の増加により、最近では大型タワークレーンを使用する機会が増加してきています。それに伴って、従来型より高機能の吊荷方向制御装置が必要となり、大林組では、新型装置の開発に取り組んできました。

東京スカイツリーに関しても様々なシミュレーションを行いました。

(シミュレーション例)

トラスを抜ける風(後流渦)に対する吊荷の回転の解析

壁ALC版をハ型に先行取付けされた吊荷の場合,右の吊荷を想定した風力特性解析,下部であらかじめ組み立てたユニット(シャフト鉄骨)を揚重する

その結果、新型タイプの「スカイジャスター」が東京スカイツリーの建設でも活用できることが判明し、 この現場で初めて稼動します。

これが「スカイジャスター」だ!


役割

1.回転している吊荷を止めます

風の影響やクレーンの動きに伴う慣性力で回転している吊荷を止めます。

2.吊荷の姿勢を保ちます

正しい位置にいる吊荷を外乱(風・慣性力)に対抗してそのままの姿勢で保ちます。

3.能動的に吊荷を回転させます

吊荷を正しい位置に降ろすために、空中で回転させます。

能力



構造と原理

スカイジャスターは、物体を回転させると回転が高速なほど姿勢が安定する「ジャイロ効果」の原理で機能します。