東京スカイツリーの現場では、特別仕様のクレーンが日々活躍しています。このタワークレーンと共に吊荷の回転を制御し、作業効率アップや安全確保のために活躍しているのが「スカイジャスター」です。
![解析モデル・仮受けをした場合の変形解析結果](../../basic/detail03/images/img5_2_01.jpg)
通常以上に風の影響を強く受ける吊荷
タワークレーンで揚重を行なう際には、風の影響やクレーンの慣性力により、吊荷が空中で回転してしまうことがあります。安全確保のため、10分間の平均風速が10m/s以上の強風時には、作業を中止することが法律により定められていますが、平均風速が10m/s以下といっても安心は出来ません。風の影響が多いと思われる高層ビル建設などでは、吊荷の回転を制御する装置をクレーンと吊荷の間に取り付け、安全を確保しています。
特に東京スカイツリーの場合は、通常のビル建設と異なる要因があります。
![1.風を受けやすい吊荷の形状,2.上空での突風,3.複雑な形態の塔体の影響による風の乱れ](../../basic/detail03/images/img5_2_02.jpg)
![スカイジャスターの開発](../../basic/detail03/images/txt5_01.gif)
建築物の超高層化、鉄骨重量の増加により、最近では大型タワークレーンを使用する機会が増加してきています。それに伴って、従来型より高機能の吊荷方向制御装置が必要となり、大林組では、新型装置の開発に取り組んできました。
東京スカイツリーに関しても様々なシミュレーションを行いました。
(シミュレーション例)
![トラスを抜ける風(後流渦)に対する吊荷の回転の解析](../../basic/detail03/images/img5_2_03.jpg)
![壁ALC版をハ型に先行取付けされた吊荷の場合,右の吊荷を想定した風力特性解析,下部であらかじめ組み立てたユニット(シャフト鉄骨)を揚重する](../../basic/detail03/images/img5_2_04.jpg)
その結果、新型タイプの「スカイジャスター」が東京スカイツリーの建設でも活用できることが判明し、 この現場で初めて稼動します。
これが「スカイジャスター」だ!
![](../../basic/detail03/images/img5_2_05.jpg)
![役割](../../basic/detail03/images/txt5_02.gif)
![1.回転している吊荷を止めます](../../basic/detail03/images/txt5_02-1.gif)
風の影響やクレーンの動きに伴う慣性力で回転している吊荷を止めます。
![2.吊荷の姿勢を保ちます](../../basic/detail03/images/txt5_02-2.gif)
正しい位置にいる吊荷を外乱(風・慣性力)に対抗してそのままの姿勢で保ちます。
![3.能動的に吊荷を回転させます](../../basic/detail03/images/txt5_02-3.gif)
吊荷を正しい位置に降ろすために、空中で回転させます。
![能力](../../basic/detail03/images/txt5_03.gif)
![](../../basic/detail03/images/img5_2_06.jpg)
![構造と原理](../../basic/detail03/images/txt5_04.gif)
スカイジャスターは、物体を回転させると回転が高速なほど姿勢が安定する「ジャイロ効果」の原理で機能します。
![](../../basic/detail03/images/img5_2_07.jpg)