床のない場所で作業をするためには「足場」が必要。
◆作業員が作業するところには手が届く位置に作業用の床(作業床)が必要です。
必要な場所に作業床がない場合は作業期間中だけ仮に作業床を設置します。
この作業床を支える骨組みや墜落防止の手すりなども含めた仮設設備を『足場』といいます。

◆出来上がった後も床がなく、円形パイプ状
の鉄骨で人が立つこともつかまることもでき
ない東京スカイツリーのような鉄塔ではほと
んどの作業場所に足場が必要になります。
特に外周部に面したところでは作業員の
安全のみならず絶対に物が落ちないよう
な養生を兼ねることが必要となるうえに、
形状や大きさも特殊なため通常用いる組立
式の既成品が使えません。
そこで東京スカイツリーの現場では特殊な足場を考案しました。

外周部特殊足場の役割と転用サイクル

「外周部特殊足場」とはどのような足場?
現場の状況等を考慮すると、以下の大きな二つの特徴を持つ足場が必要となります。

上の二つの特徴を実現するために下図のようにしました。

鉄骨工事の足場は最上部での取付け作業を省き、揚重回数を減らして効率的な作業をするために吊上げる前にあらかじめ鉄骨に取付けておくのが一般的です。
通常のサイズの鉄骨用足場は人力で取付けが可能な大きさなので、柱材を横にした状態で取付けます。
この工事の外周部特殊足場は、下の写真のように柱材を立てたままの状態で支持する専用の柱架台を荷捌きヤードに作り、
大きな足場のままクレーンで取付けます。



作業が完了し不要になった一番下の段の足場を一体のまま取り外すには、外部側へと水平に引き抜く必要があります。



全ての作業がネット内で行なわれるように、下図のサイクルで特殊足場を転用しています。

取付け完了後足場内での溶接などの作業で物が落ちないようになっているのは当然ですが、
足場を取付けた鉄骨の組立や足場の取外しのときも物が落ちないようにネット内で作業することが理想的です。
今回採用した特殊足場はそれを可能にしました。
●未知の高さの東京スカイツリー施工においての、鉄骨の積上げに対する様々な課題
・高所から塔体外部への物の落下防止
・高所での作業員の安全確保
・効率の良い鉄塔組み立て作業の実現
これらの解決のため、塔体外周部の足場を「ワンタッチでの着脱・転用可能な特殊足場」として考案し採用しているのです。