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大林組のものづくり

株式会社大林組  東京本社建築本部特殊工法部 部長 佐藤眞弘

東京本社建築本部特殊工法部 部長 佐藤眞弘

「東京スカイツリー」の工事に携わる技術者として、現在の心境をお聞かせください。

私は四半世紀以上にわたって、建物の基礎に関する特殊技術にずっと携わってきました。東京スカイツリーの施工が当社に決まる前から「この特殊技術がそんな大きなプロジェクトで使えたらすごいよなあ」と思っていましたから、それが実現することになり、これはもう技術者冥利に尽きる!という感じです。
このプロジェクトにおいて、当社独自の技術を駆使して、思いっきり仕事ができると思うと非常に楽しみです。これまで以上に技術屋としての喜びと達成感が得られるのではないかと期待しています。

特殊工法部について簡単にご説明いただけますか?

特殊工法部は1973年に発足しました。ヨーロッパで行われていた地中壁の技術にいち早く注目し、仮設として使われていた地中壁を建物本体の壁や杭として兼用できないかという発想のもと、地中連続壁の技術開発に着手したことが始まりです。これは「オウス工法」という独自技術として財団法人日本建築センターの認定第一号となり、現在でも当社は国内の地中連壁工事のシェア25~30%を占めているリーディングカンパニーです。また、今回の東京スカイツリーで採用された「ナックル・ウォール工法(節付き壁杭)」はこの技術を基にしたものです。
特殊工法部は、当社の独自技術が集約する部署です。一つの技術を開発し、育て、創り、成果品として納めるまで一貫して携わることができるので大きな喜びを実感できます。

「ナックル・ウォール工法」とはどのようなものですか?

基礎に使われる「ナックル・ウォール工法」は、壁状に連続した杭に節を付け、建物の転倒防止と引き抜き・押し込みの力に効率よく強力に抵抗する独自技術です。(詳しくは「つくり方大公開!」をご覧ください
この工法は4~5年前に実用化し、100m~200mクラスの高層建築3物件で実績を積んでおり、さらに東京スカイツリーで採用するにあたっては建設予定地で実際に杭の実物・実大載荷試験を実施しました。これは是非とも600mを越える超高層の東京スカイツリーをこの技術で!という強い思いから実現したものです。おかげで説得力のあるデータを提示することができましたし、自分たちの大きな自信にもなりました。

最後に、仕事を行う上で佐藤部長が一番大切にしていることを教えてください。

なんといっても「明るく楽しく」ですね。仕事ですから大変なことはたくさんありますけど、いろんな事に興味を持って楽しくやっていけば、自ずとやる気とパワーが沸き上がってきて、たとえ壁に突き当たったとしても壁を壁とも思わずに乗り越えていけるんじゃないかと思います。
また、かつての上司に教えてもらった「正面から行け」という心構えも大切にしています。自分が正しいと思ったことや技術は、自信を持って正面から行きなさい、と教えてもらいました。常に正々堂々と正面から対峙するということを心がけています。
東京スカイツリーのプロジェクトは、これまで誰も経験したことのない未知の世界への挑戦となるわけですから、たくさんの課題が山積みだとは思いますが、大林組の総力を発揮し、技術者としての楽しみと達成感を存分に味わいたいと思っています。